新型コロナウイルスによる新型肺炎の感染者数は、2020年2月5日現在、世界で24000名以上にのぼり、490名以上の方が亡くなっています。
急速な感染拡大に、WHOの緊急事態宣言も出ていますが、今のところ世界的大流行の状態「パンデミック」ではないとのこと。
日本でも、クルーズ船「ダイヤモンド・プ リンセス号」の検疫検査を行ったり、水際対策を強化していますが、今後いつになったら新型コロナウイルスは収束状態に落ち着くのでしょうか?
<新型コロナウイルス終息時期>SARS(サーズ)の場合
重症呼吸器症候群SARS(サーズ)が世界的に大流行したのは2002年のこと。
2002年11月、中国の広東省で初めての患者が報告されたのを皮切りに、世界に広がっていきました。 感染経路は、旅行者と治療を行った医療従事者が主で、当時のデータによると、最終的に感染者数8096名、亡くなった方は774名でした。 |
SARSに対するWHOと世界の国々での対応は「隔離と検疫」であり、それにより、収束がはかられ、2003年4月16日の新型のSARSコロナウイルスの「特定」、そして、2003年7月5日にようやく”終息宣言”となったということです。
つまり、新型のSARSコロナウイルスの終息の時期は、中国で初めて感染が確認された2002年11月から数えて約8か月後ということです。
<新型コロナウイルス終息時期>MERS(マーズ)の場合
中東呼吸器症候群MERS(マーズ)の大流行は、2012年9月の英国からの重症肺炎患者からの新型コロナウイルスがみつかったというWHOへの報告から始まっています。
この”重症肺炎患者”が中東への渡航歴があったことより、MERSと名付けられたということです。
発生源はサウジアラビアと言われており、感染源はヒトコブラクダとも言われていますが、感染方法、感染経路とともに解明されていません。 「自分自身は中東への渡航歴をもたず、中東からの訪問者に接触して感染した」という事例が、英国やフランスでみられ、「濃厚接触」での限定的な感染が確認されています。 |
2019年時点での感染報告もあり、完全な終息には至っていない状態です。
2020年の新型コロナウイルス終息時期と3つのウイルスの比較
ここまで、過去に流行ってきた2種類の「新型コロナウイルス」について振り返ってきました。
ここで、今回の新型コロナウイルスと過去の2種類のSARS、MERSと比較してみると・・・
SARS | MARS | 2020年今回の コロナウイルス | |
感染者数 / 死者数 | 8096 / 774 | 2494 / 858 | 約24000 / 490 (2020年2月5日現在) |
潜伏期間 | 2-10日(平均5日) | 2-15日 | 1-14日(2020年2月5日現在) |
感染経路 | 飛沫感染 接触感染 (糞口感染・空気感染) | 不明(現在調査中) | 飛沫感染 接触感染 |
致死率(全体) | 約9.6% (2003年9月) | 症例致死率34.4% (2019年11月) | 約2% (2020年2月5日現在) |
致死率(年齢別) | 24歳未満:1% 25〜44歳:6% 45〜64歳:15% 65歳以上で50%以上 | 不明 | 不明 |
終息時期 | 最初の患者から8か月後 | 現在も終息に至っていない | ? |
※数値は厚生労働省HP、国立感染症HP、WHO公式サイトを参照
このように比較すると、MERSの致死率が飛びぬけて高いことが分かります。
その分、感染した人が死んでしまう率が高いので、感染力は弱く現在も流行しているのにも関わらず、感染者数は2494名と最も少ない数になっています。 |
2020年2月現在、大流行している今回の新型コロナウイルスは、致死率が低いために感染力が強く、SARSの時に比べて何倍もの感染者数となってしまっているということです。
それぞれのウイルスが、「いつ終息を迎えたか」ということに関してみてみると、SARSは8カ月ほどで終息宣言が出されたのに対し、MERSについては現在も流行が続いています。 |
これは、MERSに対して感染源や感染経路がハッキリと特定されていないことも一因と考えられます。
そこだけを考えたとき、感染経路が現時点ですでにわかっている今回の新型ウイルスに対しては、SARSの時と同じ対策ができるので、その終息も同じような時期になる可能性は大きいです。 その場合は、今回の新型コロナウイルスによる肺炎の大流行は、7-8月頃終息を迎える可能性が高いのではないかと考えられます。 |
ただ、今回の新型コロナウイルスは、SARSよりも感染力が強く、「検疫と隔離」というSARSの時と同じ対策が追いつかないという可能性も・・。
また、無症状の感染者も出ていることから、今後のさらなる大流行も懸念されています。
新型コロナウイルス流行の東京五輪への影響
世界的に大流行している新型コロナウイルスによる肺炎ですが、2020年夏に予定されている東京オリンピック開催への影響はあるのでしょうか?
今回の新型コロナウイルスは、感染経路が判明しており、もしSARSの時と同じように「検疫と隔離」という対策で収束をはかることができれば、2020年の7月8月頃には”終息宣言”が出るのではないかと予想できました。 |
終息宣言がその前までに出ないとなると、最悪の場合、東京オリンピックが中止になってしまう可能性も高いです。
なぜなら、現在、「フォーミュラEのレース」など、国際的なスポーツイベントがこの新型コロナウイルスの大流行を受けて中止になっているからです。
また、対策が講じて、東京オリンピック開催よりも前に新型コロナウイルスの”終息宣言”が出たとしても、世界中の人々が集まるオリンピックには多少の影響が出そうです。 |
<追記>2月25日 国際オリンピック委員会(IOC)のパウンド氏によると、開催地変更や分散しての開催、延期も難しいとのこと・・。 |
まとめ
- 過去の新型コロナウイルスの終息時期は、SARS(サーズ)の場合、初めて感染者が分かった時点から8か月後で、MERS(マーズ)の場合はまだ終息していなかった
- 過去の2つの新型コロナウイルスの終息時期や比較から考えると、現在流行している新型コロナウイルスも8カ月ほどで終息する可能性もあった
- 終息までに時間がかかってしまった場合、東京オリンピックの中止という事態も考えられた