一番使われているパスワード管理アプリ『Lastpass』が、「2021年の3/16より無料版の使用デバイスを1つに限定する」と発表し、動揺している方も多いと思います。
『Lastpass』って、1つのパスワードで様々なサイトやサービスのパスワードを安全に保管しておける”シングルサインオン”のためのアプリのひとつで、複数のデバイスに使えてすごく便利だったんですよね。
でも、今回の発表により、その機能が無料版では、使用デバイス1つに限定されてしまうということで、「改悪だ!」という声も見られます…。
Lastpassの2021年3月の変更は改悪?
ネットショップなど色々なサイトを使う時、IDとパスワードの記入って必要ですよね。
しかも、それぞれのサイトに別々のIDやパスワードを設定していたりすると、しばらく使っていなかったサイトを使おうとして「あれ?パスワード何だったかな?どこにメモしたかな?」なんてことも…。
だからと言って1つのパスワードを使い回す事は非常に危険…。
また、覚えやすい簡単なパスワードを使っていると特定される危険も高まります。
そんな時に頼りになるのが無料で使えるLastpassなどのシングルサインオンアプリです。
今までLastpassでは、1つのデバイスに限らず、様々なデバイスで共有してその機能を使うことができていたのに、今回の変更では「1つのデバイスに限定する」という風に発表されています。
この一面だけみると、完全に『改悪』ともとらえられます。
Lastpass無料版&有料版のメリットデメリットを比較
パスワード管理アプリ『Lastpass』にそれぞれのサイトやサービスのIDやパスワードを登録しておけば、利用したいサイトやサービスのIDやパスワードを自動で入力してくれたり、必要な時にすぐ確認できます。
アプリを立ち上げる際のパスワードだけを覚えておけば良いというわけですよね。
また、自動で英語の大文字・小文字・数字・記号を組み合わせた強度の高いパスワードを生成してくれる機能もあり、簡単にパスワード更新ができます。
現在、色々なシングルサインオンアプリが出ていますが、その中でもLastpassは無料版でも様々な利点がありました。
例えば…
- スマホやパソコン両方で使用できる
- Google Authenticatorなどの多要素認証での本人確認ができる
- 管理パスワード数の上限がない
などです。
では、3/16以降無料版の使用デバイスが1つに限定されることで、無料版と有料版のメリット・デメリットはどのように比較できるのでしょうか?
「主な機能の違い」を軸に比較していきます。
主な機能の違い | 無料版 | 有料版 |
使用機器 | スマホ パソコンどちらか1つ | スマホ パソコン両方 |
緊急アクセス | なし | あり |
ダークウェブ モニタリング | なし | あり |
強化された多要素認証 | なし | あり |
料金(月額) | 0円 | 3ドル (無料版からの早期アップグレードなら2.25ドル 実施終了時期不明です※) |
有料版はマルチデバイス対応(※様々なデバイスに対応すること)はもちろんのこと、
- Lastpass自体のパスワードを忘れてしまった時のために事前に許可された連絡先からアクセスできる緊急アクセス
- 個人情報を抜き取るメールやサイトからの攻撃にさらされた時に警告をしてくれる
など、より利便性と安全性を重視した内容となっています。
ただ、無料版でメインの機能である”パスワード管理機能”が削られる訳ではないので、スマホもしくはパソコンしか使っていないという方で、「必要最低限で良いよ」という考えならば無料版のままで十分だと思います。
一方…
スマホとパソコン両方で利用されていた方は、本当に悩みますよね…。
色々なアプリが出ているのでしっかり見比べて他へ移行するか、有料版にアップグレードするか…。
Lastpass無料版&有料版の各違いをわかりやすく解説
では、Lastpassの無料版と有料版の各項目の違いを、なるべくわかりやすく説明していきます。
緊急アクセス
もし、銀行など重要なサイトのパスワードをLastpassで管理していており、Lastpassからの連絡先メールアドレスを家族も知らない自分専用のメールアドレスに設定している状態で急病になり意識がなくなってしまったら…
こんな時のために利用できる機能が「緊急アクセス」です。
具体的な仕組みは以下のようです。
- 自分のLastpassの保管庫にアクセスできる人とアクセスまでの待機時間を予め登録(指定)する。
- 指定された人は、いざという時に対象のLastpassへのアクセス許可を申請する。
- 本来の持ち主が指定した待機時間中にアクセス許可が拒否されなければ指定された人からのアクセスが可能となる。誤ってアクセス許可申請した場合にはこの待機時間中に本来の持ち主がアクセスを拒否することでアクセスは中止される。
ただし、何点か注意事項があります。
1のアクセスできる人というのはLastpassのユーザーに限られている点と、この緊急アクセスは1回限りの共有を目的としたものだと運営が説明している点です。
詳しくはこちら…
継続的に利用したい場合は共有にしておくのが便利です。
この共有は無料版なら1つのLastpassアカウントのみとの共有が可能で、有料版なら2アカウント以上との共有が可能です。
ダークウェブモニタリング
ダークウェブとは通常の検索方法(Google等)ではアクセスできない特別なネットワーク上に構築されたWebサイトの総称です。
近年では、流出したパスワードやクレジットカードなどの個人情報などがこのダークウェブを介して違法取引され、これらの情報を利用してさらなるサイバー攻撃が行われることが多くなっています。
詳しくはこちら…
>>> ESET ダークウェブとは
このダークウェブ上で、サイトのID(=メールアドレスにすることが多いですよね)がやり取りされていないかを監視してくれるのが「ダークウェブモニタリング」です。
今後、ダークウェブを利用したサイバー攻撃は増加することが予想されており個人情報を出来るだけ守りたいと考えられている方には必須の機能だと思います。
ただし、Lastpassのサイトで確認すると対応しているのはメールアドレスのみのようです。
強化された多要素認証
主にYubiKeyや指紋認証(Windows BiometricFrameworkを含むさまざまな指紋リーダーをサポート)を使用した2段階認証への対応が挙げられます。
LastPass AuthenticatorやGoogle Authenticatorといったワンタイムパスワードアプリ以外の物理キー(YubiKey)や指紋による認証もさらなる安全性アップのため導入されている方も多いのではないでしょうか?
有料版ではこのような多様な認証方式に対応しており、それぞれの利用者の好みの認証方式で安全性を高めることが出来ることが魅力です。
料金
現在、無料版を使用している方には日本時間2/17に今回のデバイス制限のお知らせと早期割引の連絡が来ているようです(英文をGoogle翻訳にて日本語訳したものとなります)
早期割引については以下のようです。
「※追加の利用規約:LastPassプレミアムの初年度の新規ユーザーに有効な広告価格。価格は更新または既存の顧客には無効であり、他のLastPassプラン、製品、またはサービスには使用できません。」
ラストパス公式サイトより引用(翻訳)
割引後の価格は年払いでの支払いで月額換算2.25ドルです。
年払いですので12倍の27ドルの支払だと思われます。
期間限定という文章も文中にあり、いつまでが対象なのか分かりませんが現在無料版を使っている方ならば27ドル(ファミリープランなら36ドル、月額換算3ドル)で1年間使えるようですね。
それ以降の更新からは通常の有料版が36ドル(月額換算3ドル)、ファミリープランが48ドル(月額換算4ドル)となります。
まとめ
- 『Lastpass』の2021年3月からの変更は、改悪という声が多かった
- Lastpass無料版&有料版のメリットデメリットを比較すると、たしかに有料版の方が、使える機能は充実しているが、無料版では1つのデバイスに限定されるというだけで、もともと1つのデバイスだけでアプリを使っていた人には影響はなかった
- パソコンとスマホの両方など、複数のデバイスでLastpassを使っていた人は、他へ移行するか、有料版にアップグレードするかを見極める必要があった